アリストテレスとは?徳の解釈と中庸の意味と3つの政治体制についての解説

アリストテレス

アリストテレスの思想と国家論

ここでは、次の3つのポイントをおさえましょう。

  1. アリストテレスはイデア論をどのように否定したのか
  2. アリストテレスによる徳の解釈と中庸の内容
  3. 現実主義といわれる国家論の内容

アリストテレスの経歴

アリストテレス(前384年~前322年)は17歳でアテネに行き、プラトンの創立したアカデメイアで約20年間学びます。

40歳ころからは、即位前のアレクサンドロス大王の家庭教師を務めています。

大王の即位後は宮廷を去り、アテネ郊外でリュケイオンという学校を始めます。

主著は『形而上学』と『ニコマノス論理学』です。

イデア論への批判

プラトンの教え子であるアリストテレスは、イデア論に疑問を持ちます。

  • 「イデアは本当にあるのか」
  • 「イデアが実在したとして、それは役に立つのか」

現実世界に存在しないイデアは、証明することができません。

プラトンの説では、私たちが現実世界で馬を見たとき、イデアを通してそれを馬だと認識します。

しかしイデアを仲介した仕組みで正解を認識しても、新しい理解は何もないのです。

アリストテレスは、イデア論は無用な説明を増やすだけだと批判しています。

そこで彼はイデアを、現実世界に実在するものとしてよい、という考え方を提唱します。

イデアは事物の素材である質料(ヒュレー)に、形相(エイドス)として内在していて、

真の実在とは、イデアではなく事物のことだと考えます。

例えば机であれば、木が質料、形や機能が形相となります。

アリストテレスはイデアというアイデアを持ち出すよりも、現実の事物を観察することで、その特徴を体系的に分類し、整理するほうが建設的であると考えました。

彼は観察の対象を天文や気象、政治などに広げていったことで、「万学の祖」と呼ばれます。

赤ちゃんの育て方という点で、海に住むイルカを魚ではなく哺乳類に分類したのも、アリストテレスです。

可能態(デュナミス)と現実態(エネルゲイア)

アリストテレスは「万物は自らの形相に向かう」として、種が桜の木になるのと同様に、事物が成長することは可能態が現実態になることだとしました。

徳の解釈

アリストテレスは人間の生活を、下記の4つに分類します。

  1. 享楽的生活 楽しいこと、好きなことなど、快楽を求める生活
  2. 政治的生活 権力・名声を求める生活
  3. 蓄財的生活 経済的豊かさを求める生活
  4. 観想(テオリア)的生活 真理を追究する生活

彼は④観想的生活が人間にとっての幸福であり、最高善だと考えます。

その為に必要となる徳が、知性的徳と倫理的徳(習性的徳)の2つであるとしました。

中庸(メソテース)

倫理的徳を身に着けるには、中庸(メンテース)という適度さが必要です。

例えば、無謀―勇気―臆病という3つでは、無謀は欲望の暴走、臆病は欲望の不足です。

この両極端を避け、具体的な場面における適度さを中庸といいます。

ここでは、いくつかの例を挙げておきます。真ん中にあるのが、中庸です。

  • 短気―穏和―意気地なし
  • 勝手―節制―鈍感
  • 虚栄―矜持―卑屈
  • 浪費―鷹揚―吝嗇(けち)

人間とは

アリストテレスによると人間は、国家や社会を離れて生きることはできません。

これを「人間はポリス的(社会的)動物である」と表現しています。

現実主義の国家論

アリストテレスはプラトンの唱えた哲人政治は現実的ではないとし、現実的に実現しうる政治体制の特徴を挙げ、それぞれの分析をしました。

正義

正義には、国家という場所や時代を超えても成立する全体的正義と、特定の条件・場面でのみ成り立つ部分的正義があります。

さらに部分的正義は、配分的正義と調整的正義に2分されます。

配分的正義は能力や結果による配分で、たくさん働いた人に多く給料を与える、といったことです。

調整的正義は均等化のことで、同じ罪を犯した罪人は同じ量刑であるべきといった意味です。

友愛(フィリア)

お互いが相互に、自分への好意を認識している関係のことです。

友愛には3種類の動機(有用性・快楽・卓越性)があるとされ、卓越性が最上位の動機です。

政治形態

アリストテレスは政治体制を3種類に分類した上で、それぞれが腐敗した場合のケースを論じました。

  1. 君主制―独裁政治
  2. 貴族制―寡頭政治
  3. 民主制―衆愚政治

①君主制―独裁政治

政治的決定権を1人が持つ君主制は、素早い政治判断ができるため、王が優秀であれば国は発展します。

しかし王の政治が不適切だった場合には、間違いを正す機能は無く、独裁状態となります。

②貴族制―寡頭政治

支配者が複数人いることで権力が分散される貴族制では、独裁者は生まれません。

リスクは、貴族たちが権力におぼれ、権力闘争などに夢中になると、政治が疎かになることです。

③民主制―衆愚政治

民衆が国家を支配する民主制は、民衆による監視が機能すれば、最も公平に政治判断がなされます。

しかし民衆が政治に無関心となった途端、無責任な政治家による政治判断で国はボロボロになります。

アリストテレスは3つの体制全てに堕落の可能性があることから、最良の選択肢はないと考えます。

またどの体制であっても、努力を怠り腐敗した場合には、必ず革命が起こります。

例えば君主制の国で、優れた王のもとで平和に過ごしていても、その息子は暴君かもしれません。

そうなると怒れる民衆は、革命により政権を転覆させ民主制を勝ち取ります。

民主制になった最初の頃は、民衆も政治を気にかけますが、やがて政治への興味を失います。

職業政治家たちに文句ばかりを言い、誰も責任を取らない衆愚政治となるのです。

そんなときに国をリードするカリスマが現れると、民衆たちは「英雄」としてついていきます。

英雄は民衆と共に政治体制を転覆させ、国家の実権を握ることで君主制が始まります。

このように、腐敗した政治体制には革命が起こり、異なった政治体制へと移行していくのです。

アリストテレスの分析の正しさは、その後の歴史展開が証明しています。

まとめ

今回は、プアリストテレスの思想と国家論について解説しました。

万学の祖・リュケイオン・友愛・『形而上学』や、「人間はポリス的(社会的)動物である」という言葉が穴埋めで問われることが多いです。

  1. イデア論をどのように否定し、事物の捉え方をどう考えたか
  2. 徳の解釈と中庸の意味
  3. 正義の種類とその意味
  4. 3つの政治体制と、それらが失敗するとどうなるのか

また上記の内容については、自分で説明できるようにしておきましょう。

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